投資のリスクのイメージ
よく日常生活でも「リスク」って言葉を使いますよね。
何か「壊れるリスクがある」とか、「怪我をするリスクがある」とか…。
「リスク」という言葉には様々な使い方がありますが、それらは主に悪い方に動くことの意味で使われると思います。
それらと同様に「投資はリスクがある」と聞くと、「損失」をイメージしますよね。
ですが、投資のリスクは、普段思い浮かべるリスクのイメージとは少し違いますので、その部分を分かりやすく書いていこうと思います。
なお、ここでの投資とは、株式や投資信託を前提として書いていきます。(その方がわかりやすいので)
また、「リスク」にはその他にも様々ありますので、後ほど少し紹介します。
株式投資におけるリスクとは?
価格変動リスク
購入した株式の株価が上下することを株価変動リスクなんて言ったりします。
ここでは、リスクの一例として株価変動リスクについて書いていきます。
ここでの投資をしたことが無い人の「リスク」とベテラン投資家の「リスク」は全く違うイメージです。
投資をしたことが無い人は「リスク=損する」というイメージですが、ベテラン投資家は、「リスク=値動きの幅」のことです。
その違いは、前者は損失のみをリスクと考えていますが、後者は損失だけでなく利益もリスクと認識している点です。
購入した株式の株価が下がることを「リスク」と思っている人が多いですが、実は株価が上がることも「リスク」になります。
正確には期待リターンからの株価の振れ幅ですが、イメージとしては、例えば20,000円で購入した株式のリスクが50%だとします。
20,000円で株式を購入して、株価が50%下落して5,000円になるのも、株価が50%上昇して30,000円になるのもリスクです。
リスクは標準偏差で表される
リスクは非常に重要なのですが、頭痛がしてきたら読まなくても良いです(笑)
株価変動において、リスクは標準偏差(σ)で表されます。
また、標準偏差の2倍を2σ、3倍を3σと言います。
では、なるべくイメージしやすいように書きます。
まず、標準偏差σとは、分散の平方根であらわさr…(略)…このガウス関数上の…
ある株式の将来の価格が10,000円だとします。
しかし、将来実際に10,000円になるかわかりませんね。
そこで、その10,000円がどの程度の精度かを表したものが標準偏差です。
例えば、その株式の標準偏差(σ)が20%だとすると、68.3%の確率で8,000~12,000円の間に収まることを意味しています。
つまり、標準偏差20%とは、株価が68.3%の確率で±20%変動するということです。
もし、標準偏差が10%であれば、68.3%の確率で9,000~11,000円(±10%)の間に収まることを意味します。
よって、リスクの低い株式は標準偏差が低いことが分かります。
ここで、「残りの31.7%はどうしたんだよっ!」と思う方もいますよね。
もし、標準偏差10%であれば、68.3%の確率で9,000~11,000円の範囲に収まりますが、残りの31.7%はその範囲外ということになります。
つまり、残りの確率31.7%で1,000円になるかもしれませんし、50,000円になるかもしれません。
もし「68.3%の確率じゃ怖いっ!」って方は、標準偏差を2倍または3倍してみてください。
標準偏差の2倍(2σ)では確率95.4%、標準偏差の3倍(3σ)では確率99.7%の株価変動の範囲を求められます。
先ほどの例で言えば、株価10,000円の標準偏差が10%であれば、標準偏差の3倍である±30%の範囲内(7,000~13,000円)に99.7%の確率で収まるということです。
こうして見てみると、株価が1,000円や50,000円になる確率はもの凄く低いことが分かりますね。
その他のリスク
ここから先は、その他の様々なリスクを紹介します。
リスクの種類はバラバラですが…(笑)
大切なものもありますし、ちょっと知っていると何かの役に立つかもしれませんので、簡単に説明します。
流動性リスク
売りたいときに売れない、買いたいときに買えないリスクと思ってください。
例えば、株式を売買するのは簡単だと思いますが、売りたい人がいなければ買うことは出来ません。
もちろん、売りたくても、暴落時に買ってくれる人は少ないですよね。
いつでも好きなときに売買することが出来ないリスクのことを流動性リスクと言います。
1番分かりやすいのは不動産の売買ですね。
株の売買と比較して、不動産は売るのに何ヶ月もかかりますし、タイミング良く希望価格で買ってくれる人が現れるとは限りませんから、流動性リスクが高いと言えます。
金利変動リスク
住宅を購入している方、住宅ローンは固定金利ですか?変動金利ですか?
どちらも金利変動リスクがありますよ!
現在の金利が1%だとして、固定金利0.5%でローンを組んでいても将来の金利が0.3%になれば、通常よりも高金利でローンを返していくことになります。
同様に、変動金利0.2%のローンであっても将来の金利が2%になれば、固定金利0.5%でローンを組めば良かったと思うはずです。
金利変動リスクとは、このようなリスクをいいます。
為替リスク
為替変動によるリスクですが、投資においては大きな影響力を持ちます。
例えば、米国企業の株式を株価100ドル(10,000円)で1口購入したとします。
この株式の株価が110ドルに値上がりした時に売却した場合、利益は出るのでしょうか?
実は株価が上がっても損する場合があるのです。
購入したときの為替が1ドル100円だったとして、売却時の為替が1ドル80円だった場合、売却しても8,800円にしかなりません。
10,000円で購入していたので、1,200円の損失ですね。
しかしこれは、株価が下がっても利益が出ることもあるということです。
先ほどの例で言えば、株価が100ドルから90ドルに下がっても、為替が1ドル130円であれば、売却時には11,700円となるため1,700円の利益となります。
インフレリスク
このリスクは投資に限らず、生活する上でとても大切なリスクなのですが、理解している人が少ない印象です。(教師や親も知らないことが多い)
日本は現在、約0.5%のインフレになっています。
これは、今年10,000円で購入出来ていたものが、来年には10,050円になるということです。
この状況を考えてください。来年同じ物を購入すると、財布の中に残るお金が50円減りますよね。
つまりインフレになると、毎年財布の中のお金が減っていくということです。
現在の大手銀行の金利は0.001%ですので、今年10,000円預金したとしても、来年も10,000円のまま変わりません。
つまり、例え預金していようと使えるお金が来年には50円減ることになります。
しかも、恐ろしいことに毎年使えるお金が減っていきます。
これがインフレリスクです。
現在、年間400万円のお金を使える人は、来年には2万円減るようなものです。
このまま毎年、0.5%ずつ使えるお金が減っていく計算をしてみてください。
怖すぎますね(笑)
余談ですが、預金も投資の一つであり、「円」に投資をしていることになります。将来、「円」の価値が上がると思うのなら、預金しておくのも一つの手だと思います。
しかし、将来に渡ってインフレ率よりも金利の方が低いのであれば、預金しておくことはお金を減らすことに繋がります。
デフォルトリスク
主に債券関係で使われることが多いリスクです。
信用リスクとも呼ばれます。
ある会社の社債を購入すると、満期になれば元本が返ってくる上に、その間は利子を受け取れます。
しかし、その会社が倒産した場合は、当然お金を返してもらうことが難しくなります。
これがデフォルトリスクです。
これは国債でも同じで、国によっては高利回りの国債を発行しているところもありますが、そういう国は財政破綻する可能性も高くなっていますので、利回りだけを見て投資することがないよう注意が必要です。
(基本的にはリスクとリターンは表裏一体です)
リスクについての正しい理解
投資をする、しない、に関わらずリスクについてある程度知っているべきだと思います。
「株は怖いから、元本保証の国債を買う!」、「投資は怖いから、預金しかしない!」、「外貨預金なら利益も安全性も優れている!」と思って、国債を購入したり預金している人が結構いると思います。
しかし、国債であろうと預金であろうと、なんらかのリスクを取っているのです。
リスクを知らないと、安全だと思っていたものが実は損失を出すものだったりするため、正しい認識が必要です。
ちなみに、私は株はおろか国債も買ったことがありませんでした。それどころか預金もしてませんでした…(ただの阿呆)
我ながら金融リテラシーが低すぎですね(笑)
何もしていなかったことを後悔してますが、今ではリスクについて多少理解できたため、何とか資産運用を始められています。
しかし、まだまだ知らないリスクはありますし、何よりその怖さを身を持って経験したことがありません。
いやー、経験するのが怖いですね!(笑)
コントロール出来ない1番のリスクは、「長生きリスク」かなと思っているよ!
(老後資金足りるのかな…)