お金の話

【保険の罠】節税目的の保険はお得?【保険の売り方】

節税

保険料支払いによる節税編

前回の記事が長くなってしまったので、保険による節税編を分けました。

保険
【保険に入る理由】本当に必要な保険って何? 保険に加入する意味は? 誰しも社会に出ると保険に入りますよね。 保険といっても、生命保険、医療保険、火災保険など、様々種類...

「無駄な保険に入らないようにしよう!」って話をすると、「節税になるからお得だよ!」って意見の人もいると思います。

ということで、保険に加入すると本当にお得なのか考えてみたいと思います。

結論から言えば、節税目的で保険に加入するのはお得とは言えないと思います。

なお、保障目的で入る場合には節税なんて関係無く保険に加入すると思いますので、今回は節税のために保険に入る場合を想定しています。

保険を顧客に買わせるセリフ

保険の相談に窓口に行ったとして、こう言われたらどうしますか?

「月額約1,600円の保険であれば、全額所得控除になります。積立保険に満期までの40年間加入すると80万円の所得控除を受けられます。全額所得控除による節税を利用しないのは損ですよ!」

「また、月額約6,700円以上の保険であれば、年間40,000円が所得控除になります。40年間で合計160万円の所得控除なので、大きな節税になります!」

「ちなみに、生命保険のほかに医療保険と個人年金保険にも併せて入っていただくと、最大で年間120,000円の所得控除になるため、40年間で合計480万円の所得控除となり、非常に大きな節税になりますよ!」

…どうでしょうか?入るとしたらどれに入りますか?

私は保険商品を販売したことはありませんが、窓口に相談に来た顧客に保険商品を買ってもらいやすくなるセリフは思いつきます(笑)

「節税になりますよ!」

これは嘘ではありません(笑)

しかし、このセリフを聞いたら、必ずどの程度の節税なのか計算しましょう。

例えば、年間の生命保険料が20,000円であれば、全額所得控除になります。(20,000円以上だと節税効率は落ちます)

全額所得控除と聞くとお得な感じがしますよね。

しかし所得控除は、所得から生命保険料分が控除されるだけで、税金が20,000円減るわけでは無いのです。(所得控除額=節税額ではありません!)

イメージを持ちやすいように単純計算ですが、節税額は20,000円×税率分だけになります。

税率20%の人なら20,000円×20%=4,000円分だけ次の年の税金が少なくなるということです。

つまり、年間20,000円の生命保険に40年加入していても、節税額は4,000円×40年=16万円です。

40年間保険料を支払い続けて、やっと16万円の節税効果です…。

支払っている保険料や税率にもよりますが、支払った保険料に対する節税額として、最初に思ったほどの大きな金額になるでしょうか。

今加入している保険について、計算してみることをおすすめします。(…と言うより、節税目的の保険加入は本末転倒だと思っています 泣)

「利回りが高いですよ!」

もし、顧客が「所得控除額≠節税額」であることを知っていた場合は、私なら次のように説明します。

「世界最高の投資家と言われているウォーレン・バフェット氏の利回りは20%です。」

「保険に加入して20,000円の保険料を支払うと、その20%にあたる4,000円の節税になります。日本には世界最高の投資家と同じだけ利益を出せる節税制度があるのです。他の皆さんは既にこの制度を利用していますよ!」

どうでしょう、契約してしまいそうですか?(笑)

しかも、これも嘘ではありません。(半分は…)

年間20,000円支払って4,000円の節税効果なら、

4,000円/20,000円×100=20% ですからね!

…が、騙されないでください(笑)

確かに1年目は利回り20%です。

しかし、2年目以降は支払った合計保険料に対する節税効率が低減していきます。

分かりやすく株式投資と比較すると…

株式投資の場合、もし利回り20%なら、

  • 1年目元本20,000円(利益0円)
  • 2年目元本40,000円(利益4,000円)
  • 3年目元本60,000円(利益8,800円)
  • 10年目元本100,000円(利益83,200円)

となります。(括弧内の利益は、前年の元本+利益合計の20%になります)

よって10年後の利益率は83,200円/100,000円×100=約83%です。

では、保険の節税効果はどうでしょうか。

  • 1年目元本20,000円(節税0円)
  • 2年目元本40,000円(節税4,000円)
  • 3年目元本60,000円(節税4,000円)
  • 10年目元本100,000円(節税4,000円)

となります。

10年後の節税率は4,000円/100,000円×100=4%です。

ちなみに、40年後は4,000円/800,000円×100=0.5%ですね。

なぜこんなことになるのかと言うと、節税には複利効果が働かないためです。(ここテストに出ます! 笑)

保険料の支払いによって受けた節税額は、元本には組み込まれず毎年捨てられます。

確かに1年目はは節税効果は高いでしょうが、その効果は毎年低減していきます。

保険に加入することで「節税」になることは間違いないですが、そこから得られる利益を計算した上で保険料を支払うようにしたいですね。

最大の節税額を目指すと…

生命保険のほかに、介護医療保険、個人年金保険に加入すると最大で年間12万円の所得控除が受けられます。

仮に40年間加入すると、480万円の所得控除になります。

ざっくりとした計算になりますが、税率が20%だとしても利益は480万円×20%の96万円+αです。

よって約100万円は節税になる計算ですね。

でもよく考えてください。

40年間で約100万の節税額を出すために支払った保険料はいくらでしょうか。

年間12万円の所得控除を得るには、最低でも年間24万円の保険料を支払う必要があります。

いうことは、年間24万円×40年=合計960万円の保険料を支払う必要があります。

これを保険料としてではなく、そのまま貯蓄しておいてたら、どうでしょう。

これだけあれば、将来病気になっても不安は少ないのですし、もし病気にならなければ老後2,000万円問題の半分は解決します。

まとめ(節税目的の保険加入はおすすめしません)

保険について考える際には、「節税になりますよ!」というセリフに釣られない方が良いです。ちゃんと自分で計算してみると分かると思います。

そして保険は保険であって、節税や投資とは切り離して考え、あくまでも保険は保障目的で入りましょう。

節税目的の保険加入はおすすめしません。

必要な保険に入ったことで、「たまたま節税制度を利用できた」くらいの感覚が良いと思います。

私も沢山失敗していますが、その一例が以下の記事になります(笑)

20201027_シミュレーション
【保険の罠】養老保険は不要(不要な養老保険に入っていました) 養老保険(積立型の生命保険) 自分は、つい最近までかんぽ生命の養老保険に加入していました。 養老保険という名前ですが、中身...

ちなみに…偉そうなことを言ってるけど、節税に釣られて個人年金保険に加入していたよ(笑)

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA